ネットゲームやビデオ通話が突然途切れてイライラしたことはありませんか。
原因の一つであるパケットロスの目安が分からないと、本当に必要な対策が見えづらく無駄な手間が増えます。
用途別の許容率や簡易な測定方法、発生源に応じた改善手順を分かりやすく提示します。
家庭やオフィスで今すぐできるチェック項目や監視設定のポイントまでカバーしているので実践的です。
まずは簡単な測定から始めて、最適な対応を見つけましょう。
続く章で実測値の目安と測定サンプルをもとに状況判断のコツを解説します。
パケットロスの目安
パケットロスは通信品質を左右する要素であり用途ごとに許容範囲が異なります。
一般的なパケットロス許容率
一般的にはパケットロスが0から1%以下であれば良好とされます。
0.1%未満はほとんど影響が出ないことが多いです。
1%以上になると音声や映像に途切れが生じやすくなります。
| パケットロス率 | 評価 |
|---|---|
| 0% | 良好 |
| 0.1%〜1% | 許容範囲 |
| 1%〜5% | 要改善 |
| 5%以上 | 深刻 |
オンラインゲームの許容率
オンラインゲームでは遅延だけでなくパケットロスも体感に直結します。
目安としては0.1%以下が望ましいです。
0.5%程度までなら一部のゲームでは許容されることもありますが競技性の高いゲームでは不利になります。
1%以上はラグや同期ずれが発生しやすくなります。
動画配信の許容率
動画配信では再生の途切れや解像度低下が問題になります。
ストリーミング視聴では0.5%以下が目安です。
バッファが十分な場合は1%程度でも再生は続くことがあります。
ビデオ通話の許容率
ビデオ通話はリアルタイム性が重要です。
0.1%未満が快適な通話の目安です。
0.5%を超えると映像のブロックノイズや音声途切れが発生しやすくなります。
ウェブ閲覧の許容率
ウェブ閲覧は多少のパケットロスがあっても体感影響が小さいことが多いです。
1%以下であればページ表示に支障が出にくい目安です。
ただし大きなファイルダウンロードやインタラクティブなWebアプリでは低いパケットロスが望まれます。
測定サンプルの目安
測定は複数回行い時間帯を分けて確認すると精度が上がります。
- Pingテスト 100回程度
- 異なる時間帯での測定
- 有線と無線の比較
- ルーター再起動前後の比較
パケットロスの測定方法
パケットロスを正確に把握するには複数の測定手段を使い分けることが重要です。
測定結果は使用するツールや条件で大きく変わるため条件の統一がポイントです。
pingコマンド
pingコマンドは最も基本的で手軽にパケットロスを確認できるツールです。
指定した宛先にICMPパケットを送信して応答の有無や遅延を測定します。
短時間の簡易チェックやルータや端末との疎通確認に向いています。
- 送信回数の指定
- パケットサイズの変更
- タイムアウトの調整
MTR／traceroute
MTRはtracerouteの機能とpingの継続的測定を組み合わせたツールです。
経路上のどの区間でパケットロスが発生しているかを視覚的に把握できます。
| ツール | 用途の目安 |
|---|---|
| traceroute | 経路の特定 ホップごとの応答確認 |
| MTR | 継続的なパケットロス監視 リアルタイムでの異常検出 |
オンライン測定サイト
ブラウザや専用アプリで利用できるオンライン測定サイトは手軽に結果を得られます。
Speedtestなどは回線速度とともにパケットロスの状況を確認できます。
外部の視点から見た経路やISP側の問題を把握するのに役立ちます。
測定条件の統一
比較可能な結果を得るためにターゲットIPやパケットサイズを揃えて測定してください。
測定は時間帯を変えて複数回行い平均的な傾向を把握してください。
パケットロスの目安は1%未満が良好です。
1％から3％は注意が必要で3％以上はネットワーク障害を疑って対応を検討してください。
用途別の影響の現れ方
パケットロスは用途によって症状が変わり、目に見える問題の出方も異なります。
パケットロス 目安としては用途別に0.1％未満や1％未満などの目安があり、これを基準に対策を検討すると分かりやすくなります。
遅延の増加
パケットが失われると再送やエラー訂正が発生し遅延が増える要因になります。
特に双方向のやり取りが多いオンラインゲームやリモート操作系のサービスでは遅延が少し増えるだけで操作感が悪化します。
遅延増加の目安としては0.5％程度の損失でもラウンドトリップタイムが悪化することがあるため状況に応じた監視が必要です。
音声の途切れ
音声通話やVoIPは小さなパケットロスでも途切れや雑音として感じやすい性質があります。
- 0.1%未満 音声は安定して聞こえる
- 0.1%〜0.5% 軽い途切れや音質低下が出る場合がある
- 0.5%〜1% 断続的な途切れが目立つ
- 1%以上 通話が成り立たないことがある
映像のブロック化
映像ストリーミングでは欠損したパケットの影響がフレーム単位で現れやすくブロック化やフリーズとして見えることが多いです。
| パケットロス率 | 想定される映像の現象 |
|---|---|
| 0〜0.5% 配信は概ね安定 |
一部フレームの欠落 短時間のブロック化 |
| 0.5%〜1% 視聴体験に影響が出始める |
頻度の増加するブロック化 解像度の自動低下 |
| 1%〜5% 視聴に支障が出る |
連続するブロック化 再生の中断やバッファリング |
| 5%以上 配信品質の大幅劣化 |
長時間のフリーズ 再生不能になることがある |
データ転送の再試行
ファイル転送やバックアップなどのバルクデータは再送によって処理時間が伸びます。
TCP系プロトコルは信頼性を確保するために再試行を行うためパケットロス率が高いとスループットが低下します。
目安としては1％を超えると再試行のコストで実効帯域が大きく落ちることが多く、長時間の転送では特に影響が出ます。
パケットロスの主な原因
パケットロスが発生する原因は複数あり、原因ごとに対処法が異なります。
ここでは代表的な原因をわかりやすく整理します。
回線輻輳（混雑）
回線輻輳はネットワークの帯域に対して通信量が多すぎると発生します。
帯域を超えたパケットは機器によって破棄され、結果的にパケットロスが増えます。
| 用途 | パケットロス目安 |
|---|---|
| Webブラウジング | 1%以下 |
| VoIP 音声通話 | 0.5%以下 |
| オンラインゲーム | 0.1%以下 |
| 動画ストリーミング | 2%以下 |
一時的な混雑と持続的な混雑では対策が異なります。
短時間の混雑であれば時間帯をずらすだけで改善することがあります。
無線干渉（Wi‑Fi）
無線環境では周囲の電波が干渉してパケットが失われることがあります。
チャネルの重なりや2.4GHz帯の混雑が代表的な要因です。
- 電子レンジ
- Bluetooth機器
- 近隣のWi-Fiネットワーク
- 金属製の障害物や厚い壁
干渉源を減らすためにチャンネル変更や5GHz帯への切替が有効です。
ルーターやスイッチの不具合
ルーターやスイッチのCPU過負荷やバッファ不足がパケット破棄を招きます。
古いファームウェアや不適切な設定が原因となることもあります。
機器の再起動やファームウェア更新、設定の見直しで改善する場合があります。
機器故障の疑いがあるときは別の機器で同じ環境を再現して切り分けを行ってください。
LANケーブルの劣化・断線
物理的な損傷やコネクタの接触不良でパケットが正常に届かなくなることがあります。
古いカテゴリケーブルや屋外で劣化したケーブルはノイズに弱くなります。
ケーブル交換や端子の再圧着、ケーブルテスターによる確認で原因を特定できます。
プロバイダ側のルーティング障害
プロバイダや上位ネットワークでの障害や経路の問題が原因でパケットロスが発生することがあります。
BGPの経路変動やピアリング障害により特定の経路だけで損失が出る場合があります。
tracerouteやMTRで経路上の損失箇所を確認し、プロバイダに連絡する判断材料にしてください。
プロバイダ側の問題であれば利用者側でできる対処は限られるため速やかに報告することが重要です。
パケットロスの改善手順
パケットロスを減らすには原因を順に潰していくことが有効です。
まずは家庭内やオフィス内の機器と配線の状態を確認して理想的な接続環境を作ることを優先してください。
ルーター再起動と再設定
ルーターの電源を切って数分待ってから再起動すると一時的な不具合が解消することが多いです。
ルーターの設定を初期化すると複雑な設定ミスが原因の場合に改善が期待できます。
- 電源を抜いて再起動
- 設定のバックアップを取得
- 工場出荷時設定にリセットする場合の手順確認
- SSIDとパスワードの再設定
再設定後は接続機器を一つずつ接続して問題の起点を特定してください。
有線接続への切替
無線接続でパケットロスが出ている場合はまず有線LANに切り替えて改善するか確認してください。
有線接続で問題が解消するなら無線の電波干渉や設定が原因である可能性が高いです。
可能であればカテゴリ5e以上のLANケーブルを使いケーブルの破損や抜けをチェックしてください。
QoS設定の確認と適用
QoS設定で音声やゲームなど遅延に敏感なトラフィックを優先することで体感の改善が見込めます。
ルーターの管理画面でQoSの有効化と優先度設定を確認してください。
複数の優先対象を設定する際は帯域の上限を適切に割り当てることを忘れないでください。
機器ファームウェアの更新
ルーターやスイッチのファームウェアに既知の不具合修正が含まれていることがあります。
メーカーの公式サイトで最新バージョンを確認して安全に更新してください。
ファームウェア更新前には設定のバックアップを取り万が一に備えてください。
機器交換と配線点検
長期間使用したルーターや古いスイッチはハードウェア故障でパケットロスを引き起こすことがあります。
予備機器がある場合は交換して挙動がどう変わるかを確認してください。
配線は差し込み不良やピン折れが起点になることが多いのでコネクタ部分まで目視で点検してください。
プロバイダへの問い合わせ
家庭内での対処で改善しない場合はプロバイダ側の回線障害や輻輳が原因かもしれません。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 通常利用 | 0.1%以下 |
| オンラインゲーム | 0.5%以下 |
| ビデオ会議 | 1%以下 |
問い合わせの際は発生時間帯や発生頻度、計測結果のログを用意すると対応がスムーズです。
プロバイダから回線品質の確認や工事の提案があった場合は指示に従って適切に対応してください。
監視と自動通知の設定
ネットワークのパフォーマンスは継続的な監視が重要です。
パケットロスを早期に検知して通知する仕組みは障害対応を大きく短縮します。
SNMP監視の導入
SNMPはルータやスイッチからインタフェースの統計を取得するのに適した仕組みです。
ifInErrorsやifOutErrorsといったMIBの値を定期的に取得して傾向を監視します。
パケットロス 目安としてはインタフェースのエラーカウントやドロップ率の急増をトリガーにするとわかりやすいです。
| 監視項目 | 目的 |
|---|---|
| ifInErrors | 受信エラーの検出 |
| ifOutErrors | 送信エラーの検出 |
| ifInDiscards | 受信パケットの破棄検出 |
| ifOutDiscards | 送信パケットの破棄検出 |
| polling interval | 監視間隔の管理 |
監視間隔は通常60秒から300秒の範囲で調整します。
しきい値は機器や回線の特性に合わせて設定しないと誤検知が増えます。
定期測定スクリプト
自作スクリプトで定期的にパケットロスを計測すると傾向把握が容易になります。
- pingによる応答時間とパケットロス計測
- iperfによるスループットとロス測定
- ログの蓄積とグラフ化
- 閾値超過時の通知
cronやsystemdタイマーでスクリプトを定期実行してデータを蓄積します。
測定結果はCSVやPrometheus形式で保存して可視化ツールに渡すと解析がしやすくなります。
パケットロス 目安を超えた場合は自動でアラートを発生させると対応時間が短縮されます。
クラウド監視サービス
クラウド監視サービスは監視の導入と運用を簡単にしてくれます。
AWSやDatadogなどはアラートやダッシュボードの設定が充実しています。
合成監視を使って外部からの到達性とパケットロスを継続的にチェックできます。
一般的なパケットロス 目安としては次のように考えると運用が楽になります。
0.1パーセント未満はほぼ問題ないと考えられます。
0.1パーセントから1パーセントは注意が必要な状態です。
1パーセント以上は調査の優先度を上げるべき状態です。
2パーセント以上は重大な影響が出る可能性が高いので早急に原因追及が必要です。
通知はメールやチャットツールと連携してオンコール体制に組み込むと効果的です。
プロバイダや業者に連絡すべき目安
パケットロスは通信の安定性を判断する重要な指標です。
増加が続いたり通信に支障が出る場合は早めに専門家へ連絡する判断が必要です。
継続的な高い損失率
継続的に高いパケットロス率が出ている場合は回線や機器の問題が疑われます。
目安として常時1％を超える損失が続くと実使用で影響が出やすくなります。
特に3％以上の状態が長時間続く場合は速やかにプロバイダへ連絡することを検討してください。
| パケットロス率 | 推奨対応 |
|---|---|
| 1%未満 | 様子観察 |
| 1〜3% | ルータ再起動と設定確認 |
| 3%以上 | プロバイダ連絡と詳細調査 |
連続した高い損失が出る際は計測日時とトレース結果を保存しておくと対応がスムーズになります。
ピーク時に限定した大幅な増加
夜間や帰宅時間帯など利用者が集中するピーク時間にだけパケットロスが増えることがあります。
一時的な増加であっても業務やオンライン授業に支障が出る場合は対応を求める価値があります。
- 業務や授業で影響が出る場合
- 毎日同じ時間に悪化する場合
- 短時間でも動画や音声が途切れる場合
ピーク時の問題は混雑や帯域制御が原因であることが多く、プロバイダ側での対処が必要になるケースがあります。
特定経路での連続した損失
特定の経路や中継点で継続してパケットロスが出る場合は経路依存の障害が考えられます。
tracerouteやmtrで特定のホップ以降に損失が集中しているか確認してください。
その結果を記録してプロバイダや業者に提示すると原因特定が早まります。
社外の宛先まで影響が出ている場合はプロバイダ側の経路調整や上位事業者への確認が必要になることがあります。
快適な通信を保つための目安と次の一手
パケットロス 目安は快適な通信に直結する指標です。
オンラインゲームやリアルタイム通話では1%未満が理想です。
動画視聴やウェブ閲覧なら1〜3%が許容範囲ですが3%以上だと遅延や画質低下が目立ちます。
まずは有線接続で測定しルーターの再起動やファームウェア更新を試してください。
機器の接続数を減らすかQoSで重要なトラフィックを優先すると改善することがあります。
それでも改善しない場合はISPに相談し回線品質の確認や機器交換を依頼してください。
定期的にpingやMTRで測定し時間帯や機器を変えて比較すると原因特定が早まります。